この記事のポイント
- 交通事故証明書は、事故の発生を公的に証明する書類で、自動車安全運転センターが発行する
- 発行には警察への届け出が前提。届け出ていないと証明書は取得できない
- 申請は窓口・郵便(払込)・インターネットででき、手数料は1通600円程度(金額は改定されることがある)
- 保険金の請求など、賠償手続きの基本書類になる
- 人身か物損かの記載や賠償でもめたら弁護士への相談が有効
交通事故証明書とは
事故の発生を公的に証明する書類
交通事故証明書とは、交通事故が「いつ・どこで・誰と誰の間で起きたか」を公的に証明する書類です。発行するのは、警察ではなく自動車安全運転センターという機関です。警察に届け出られた事故の記録をもとに作成されるため、警察への届け出があってはじめて発行されます。
この書類は、事故があった事実そのものを客観的に裏づけるものです。当事者同士が口頭で「事故があった」と主張するだけでは、後で相手が事実を否定したときに証明できません。交通事故証明書があれば、事故の発生を第三者の記録として示せます。
被害者にとっては、その後の賠償手続きを進めるうえでの出発点になる書類です。保険会社への請求をはじめ、さまざまな手続きで提出を求められるため、早めに取得しておくと安心です。
記載されている内容
交通事故証明書には、事故を特定するための基本的な情報が記載されています。具体的には、事故の発生日時と発生場所、当事者それぞれの住所・氏名、関係した車両の情報などです。
あわせて、その事故が人身事故として扱われているか、物損事故として扱われているかの区別も記載されます。この人身・物損の区別は、後の賠償の範囲に関わる重要な情報です。
ただし、交通事故証明書はあくまで事故の発生という事実を証明するもので、過失割合や賠償額そのものを定める書類ではありません。誰がどれだけ悪いか、いくら支払われるかは、別の資料や交渉によって決まります。この点を取り違えないことが大切です。
交通事故証明書の取り方・発行手続き
申請の前提は警察への届け出
交通事故証明書を取得するための大前提は、事故を警察に届け出ていることです。届け出があると、その記録が自動車安全運転センターへ引き継がれ、証明書の発行が可能になります。逆に、当事者だけで済ませて警察に届け出ていない事故は、記録自体が残らないため証明書を取得できません。
軽微に見える事故でも、その場で示談して警察を呼ばずにいると、後から証明書が必要になったときに取得できず、賠償交渉で不利になります。事故に遭ったら、まず警察へ届け出ることが、この書類を確保する第一歩です。
申請できるのは、事故の当事者や、損害賠償の請求権がある人など、正当な利益のある人です。保険金の請求のために、保険会社が手続きを代行することもあります。
申請の方法
交通事故証明書の申請には、いくつかの方法があります。自分の状況に合った方法を選べるよう、主な申請窓口と方法を整理します。
| 申請方法 | 内容 |
|---|---|
| 自動車安全運転センターの窓口 | 窓口で申請書を出して手続きする |
| 郵便(払込) | ゆうちょ銀行・郵便局に備えられた専用の払込用紙で申請し、後日郵送で受け取る |
| インターネット申請 | 自動車安全運転センターのウェブサイトから申請する |
いずれの方法でも、事故を特定するための情報(事故の発生日や場所など)が必要になります。警察に届け出た際の情報を控えておくと、申請がスムーズです。
手数料と交付までの目安
手数料は1通あたり600円程度です。ただし、金額は改定されることがあるため、最新の額は自動車安全運転センターで確認してください。郵便で申請する場合は、払込手数料が別途かかることがあります。
交付までにかかる期間は申請方法によって異なり、窓口ならその場で受け取れることもあれば、郵送では数日から届くまで時間がかかることもあります。必要な時期から逆算して、早めに申請しておくとよいでしょう。
なお、事故直後は警察から自動車安全運転センターへの情報の引き継ぎに一定の時間がかかるため、事故からあまりに早いタイミングではまだ発行されないこともあります。
保存期間と、取得できないときの対応
交通事故証明書には、申請して取得できる保存期間の目安があります。一般に、人身事故は事故の発生から5年、物損事故は3年が目安とされます。期間を過ぎると取得が難しくなることがあるため、必要になりそうなら早めに申請しておくことが大切です。
また、何らかの事情で交通事故証明書が取得できないこともあります。たとえば、警察に物損として届け出たあとに人身の損害を請求したいのに、人身事故への切り替えが間に合わなかったような場合です。証明書の上では物損のままになっているため、人身の証明として使えません。
こうしたときには、「人身事故証明書入手不能理由書」という書類を保険会社へ提出することで、交通事故証明書がそろわなくても賠償手続きを進められることがあります。ただし扱いは保険会社により異なるため、提出の要否や様式は事前に確認することが大切です。
交通事故証明書の使い道
賠償手続きの基本書類になる
交通事故証明書のもっとも大きな使い道は、保険会社へ賠償を請求する際の基本書類になることです。自賠責保険への被害者請求でも、任意保険への請求でも、事故の発生を示す資料として提出を求められます。
この証明書がないと、保険会社は「その事故が本当に起きたのか」を確認できず、手続きが進みません。とくに相手が事故の存在自体を争ってきた場合には、客観的な裏づけとして大きな意味を持ちます。
そのほか、勤務先への報告や、各種給付の申請など、事故があったことを示す必要がある場面でも使われます。被害者として動くうえで、手元に確保しておきたい書類です。事故直後にとるべき対応全般については事故被害者が知っておきたい対応もあわせて確認しておくと、手続きの見通しが立てやすくなります。
人身か物損かの記載に注意
物損のままでは人身の証明にならない
交通事故証明書で見落とされやすいのが、人身事故か物損事故かの記載です。事故の際にケガがないと判断されると、物損事故として記録され、証明書にもそのように記載されます。
しかし、事故直後は痛みを感じなくても、後日になって首や腰の痛みが出ることがあります。物損事故のまま放置していると、ケガと事故のつながりを示しにくくなり、治療費や慰謝料の請求で不利になることがあります。
痛みが出た場合は、医師の診断書をもって警察に届け出ることで、人身事故への切り替えができることがあります。証明書の記載が実態と合っているかを確認し、必要なら早めに手続きを進めることが大切です。
交通事故証明書のことで困ったら
取得や賠償でつまずいたら弁護士に相談
交通事故証明書は、賠償手続きの土台になる書類です。しかし、警察への届け出をめぐる行き違いや、人身・物損の扱い、相手が事故そのものを争うケースなど、思わぬところでつまずくことがあります。
証明書をうまく取得できないとき、記載の扱いに不安があるとき、あるいはその先の過失割合や賠償額でもめたときは、交通事故にくわしい弁護士に相談することをおすすめします。書類の整え方から賠償の見通しまで、まとめて確認したうえで対応を決めると、不利な進み方を避けやすくなります。