交通事故発生時の対応マニュアル

交通事故による免許停止・取消|点数と期間の目安

交通事故による免許停止・取消|点数と期間の目安

この記事のポイント

  • 免許停止は一定期間運転できなくなる処分、免許取消は免許が失効し欠格期間後に取り直す処分
  • 処分は累積点数で決まり、前歴がなければ6~8点で停止30日、15点以上で取消が目安
  • 取消の欠格期間は原則1年以上で、危険運転やひき逃げ(救護義務違反)では大幅に長くなる
  • 免許の処分は加害者への行政処分で、被害者への損害賠償(民事)とは別の手続き
  • 賠償や示談でもめたら弁護士への相談が有効

交通事故による免許停止・取消とは

停止と取消はどう違うのか

交通事故や違反を起こすと、行政処分として免許の停止や取消を受けることがあります。免許停止は、一定の期間だけ運転ができなくなる処分です。期間が終われば、もとの免許で再び運転できるようになります。

これに対して免許取消は、免許そのものが失効する重い処分です。取消を受けると、一定の「欠格期間」が経過するまでは新たに免許を取得できず、欠格期間が明けても、最初から取り直すことになります。

つまり、停止は「一時的に運転できない」、取消は「免許を失い、期間後に取り直す」という違いがあります。どちらになるかは、違反や事故によって加算された累積点数で決まります。

累積点数で処分が決まる仕組み

免許の停止や取消は、一定期間内に積み重なった違反や事故の点数(累積点数)にもとづいて判断されます。人身事故では、基礎点数に加えて、被害の程度に応じた付加点数が加算されるため、点数が一気に大きくなることがあります。

過去3年以内などに停止や取消の処分を受けた経歴(前歴)があると、より少ない点数でも停止や取消の対象になります。前歴が多いほど、処分の基準は厳しくなっていきます。

このように、同じ点数でも前歴の有無で結果が変わるため、点数だけを見て処分内容を断定することはできません。あくまで目安として理解しておくことが大切です。

点数と停止・取消の期間の目安

前歴がない場合の目安

前歴がない場合の累積点数と処分の関係は、一般的な目安として次のように整理できます。点数が大きくなるほど停止期間が延び、一定以上で取消に至ります。

下の表は、前歴がないときのおおまかな目安です。実際の処分は前歴や違反の内容によって変わり、ケースにより異なります。

累積点数と行政処分の目安(前歴なしの場合)
累積点数(目安) 処分の内容(目安)
6~8点 免許停止30日
9~11点 免許停止60日
12~14点 免許停止90日
15点以上 免許取消(欠格期間1年~)

前歴がある場合は、これより少ない点数で停止や取消の対象になります。表はあくまで前歴がないときの出発点として捉えてください。

停止期間が短くなることもある

免許停止になった場合でも、停止処分者講習を受けることで、停止期間が短縮されることがあります。講習の結果に応じて期間が見直される仕組みで、運転を早く再開したい人にとっては選択肢のひとつです。

ただし、講習を受ければ必ず大幅に短くなるわけではなく、短縮の幅は点数や講習の成績などによって変わります。詳しい条件は、処分の通知や窓口で確認する必要があります。

停止期間中に運転すれば無免許運転となり、さらに重い責任を問われます。短縮の有無にかかわらず、停止期間中は運転しないことが大前提です。

取消の欠格期間は態様で大きく延びる

免許取消になると、一定の欠格期間が設けられます。前歴や点数にもよりますが、欠格期間は原則として1年以上です。点数が大きいほど、また前歴が多いほど、欠格期間は長くなります。

とくに、危険運転にあたる悪質な運転や、ひき逃げ(救護義務違反)があった場合には、欠格期間が大幅に延びます。救護義務違反は35点と非常に高い点数で、免許取消となり、欠格期間は原則として3年以上に及びます。

このように、同じ取消でも、事故や違反の悪質さによって運転に戻れるまでの期間は大きく変わります。重い態様ほど、社会復帰までの道のりが長くなる点を押さえておきましょう。

被害者にとっての免許処分の位置づけ

処分は加害者へのもの、賠償は別

被害者の立場で知っておきたいのは、免許の停止や取消はあくまで加害者に対する行政処分であり、被害者への賠償とは別の手続きだということです。加害者の免許がどうなるかと、被害者がいくら賠償を受けられるかは、直接には連動しません。

被害者が、加害者の免許処分を直接重くしたり軽くしたりすることはできません。行政処分は公安委員会などが点数にもとづいて行うもので、被害者が決めるものではないからです。

一方で、被害者が受けた損害は、民事の問題として加害者側に賠償を請求できます。加害者がどのような免許処分を受けたかにかかわらず、被害者には賠償を求める権利があります。

賠償は民事で確実に請求する

治療費、通院交通費、休業損害、慰謝料、車の修理費などの損害は、加害者本人や加害者が加入する保険会社に請求します。これは免許処分や刑事手続きの結果とは別に進められるものです。

加害者が重い免許処分を受けたとしても、それで被害者の賠償が自動的に支払われるわけではありません。逆に、加害者の処分が軽くても、被害者が請求できる賠償が減るわけではありません。

「加害者が免停になったのだから十分だ」と感じても、それは処分の話であって賠償とは別です。被害者は、自分の損害をきちんと整理して請求していく必要があります。

免許処分と賠償の関係でもめたら

賠償のことは弁護士に相談

免許の停止や取消は加害者への行政処分であり、被害者が受け取る賠償とは切り離して考える必要があります。この区別があいまいなままだと、賠償の交渉で混乱が生じやすくなります。

加害者の処分と自分の賠償の関係に迷うとき、提示された賠償額や過失割合に納得できないときは、交通事故にくわしい弁護士に相談することをおすすめします。処分と賠償を切り分けたうえで、適正な賠償の見通しを確認して対応を決めるとよいでしょう。