この記事のポイント
- 自転車で車にぶつけられケガをしたら、まず安全確保と救護、警察への人身事故としての届け出を行う
- 相手の車の自賠責保険・任意保険に治療費や慰謝料を請求でき、自分側の人身傷害保険が使える場合もある
- その場での示談・口約束、痛みを我慢して受診しないことは避ける
- 痛みが軽くても早めに受診し、診断書を取って人身事故の扱いにしておく
- 過失割合や賠償でもめたら弁護士への相談が有効
自転車で車にぶつけられたら
自転車側は被害が大きくなりやすい
自転車で走行中に車と接触する事故では、車体に守られていない自転車側が、骨折や打撲、頭部のケガなど大きな被害を負いやすいのが特徴です。低速の接触に見えても、転倒の打ちどころによっては重いケガにつながることがあります。
だからこそ、自転車側の被害者は、その場の対応を誤らないことが大切です。動揺しているとつい相手の言いなりになりがちですが、初動の対応がその後の賠償を大きく左右します。
この記事では、自転車で車にぶつけられてケガをした被害者が、事故直後から示談に向けてどう動けばよいかを、順を追って整理します。過失割合そのものよりも、被害者がとるべき手順に重点を置いて説明します。
典型的な状況
自転車と車の事故には、いくつかの典型的な状況があります。第一に、交差点で左折・右折してきた車に巻き込まれる、あるいは出会い頭にぶつかるケースです。第二に、路側帯や車道の左端を走っていたところに、後ろから来た車に接触されるケースです。
第三に、駐車場や脇道から出てきた車に、直進していた自転車が衝突されるケースもあります。いずれも、自転車側が交通ルールを守って走っていても、車側の確認不足で起こり得る事故です。
こうした事故では、自転車側が被害者の立場になることが多いものの、後述するように自転車側の走り方によっては一定の過失がつくこともあります。だからこそ、事実を正確に記録しておくことが重要になります。
事故直後にとるべき行動の流れ
時系列でやるべきこと
事故に遭ったら、慌てず順番に対応することが大切です。とくに、その場で示談の話を進めず、まずは安全の確保と記録を優先します。
下の表は、自転車の被害者が事故直後にとるべき行動を時系列で整理したものです。順番どおりに動けば、必要な対応を漏らさずに済みます。
| 順序 | すること |
|---|---|
| 1 | 安全な場所へ移動し、二次事故を防ぐ |
| 2 | ケガの有無を確認し、必要なら救急(119番)へ連絡 |
| 3 | 警察(110番)へ届け出て、人身事故として扱ってもらう |
| 4 | 相手の氏名・連絡先・車のナンバー・自賠責と任意保険の会社を控える |
| 5 | 現場や損傷箇所、自転車の状態を撮影する |
| 6 | 病院を受診し、診断書をもらう |
これらの手順のうち、見落とされやすいのが警察への届け出と受診です。事故被害者として知っておきたい初動全般については事故被害者の対応もあわせて確認しておくと安心です。
受診と人身事故への切り替え
事故直後は興奮で痛みを感じにくく、「たいしたことはない」と思ってしまうことがあります。しかし、むちうちや打撲は翌日以降に症状が出ることも多いため、痛みが軽くても、その日のうちか翌日には病院を受診しておきましょう。
受診が遅れると、ケガと事故の関連を疑われ、賠償の対象にされにくくなることがあります。早めの受診で診断書をもらい、それを警察に提出することで、物損事故から人身事故への切り替えができます。
人身事故として扱われることは、適切な賠償を受けるうえで重要です。痛みが続く間は、医師の指示に従って通院を続け、自己判断で治療をやめないことも大切です。
誰に賠償を請求できるか
相手の保険と自分の保険
自転車で車にぶつけられた被害者は、原則として相手の車の保険に賠償を請求します。まず、相手が加入している自賠責保険から、ケガに関する一定の補償を受けられます。これに加えて、相手の任意保険に対して、自賠責の範囲を超える損害を請求できます。
また、自分や家族が加入している保険に、人身傷害保険などが付いていれば、自分側の保険から補償を受けられる場合があります。過失割合にかかわらず使えることがあるため、自分の保険の内容も確認しておくとよいでしょう。
請求できる損害には、治療費、通院のための交通費、仕事を休んだ分の休業損害、痛みなどに対する慰謝料、壊れた自転車の修理費や買い替え費用などがあります。慰謝料の算定には複数の基準があり、過去の裁判例に基づく基準で計算したほうが高くなる傾向がありますが、ケガの程度などによって結果は変わります。
やってはいけないNG行動と揉めやすい点
その場での示談・受診の先延ばしは避ける
自転車事故でもっとも避けたいのが、その場での示談です。相手から「治療代を払うので警察は呼ばないでほしい」と持ちかけられることがありますが、口約束は後で守られる保証がなく、証拠も残りません。後からケガが判明しても請求が難しくなります。
次に避けたいのが、痛みを我慢して受診を先延ばしにすることです。受診が遅れるほど、事故とケガの関連を疑われやすくなります。また、相手の連絡先や保険会社を確認しないまま別れてしまうと、その後の交渉ができなくなります。
揉めやすいのは、過失割合と治療費の打ち切りです。自転車側にも一定の過失があると主張されたり、まだ痛みが残っているのに治療費を打ち切られそうになったりすることがあります。こうしたときは、医師の判断を踏まえて通院を続け、提示された内容の根拠を確認することが大切です。ドライブレコーダーや防犯カメラの映像、診断書は、過失割合やケガを裏づける有力な証拠になります。
自転車事故の賠償でもめたら
過失割合・賠償は弁護士に相談
自転車で車にぶつけられた事故は、過失割合や治療費の打ち切り、慰謝料の水準をめぐって相手保険会社と見解が分かれることがあります。被害者本人だけで交渉するのは負担が大きく、不利になりがちです。
提示された過失割合や賠償額に納得できないとき、治療費の打ち切りを打診されて困っているときは、交通事故にくわしい弁護士に相談することをおすすめします。見通しや適正な金額の目安を確認したうえで、対応を決めるとよいでしょう。