交通事故の過失割合

右折時の事故の過失割合|右折車が不利になりやすい理由

右折時の事故の過失割合|右折車が不利になりやすい理由

この記事のポイント

  • 右折時の事故は、対向直進車との衝突と、右折先の横断歩道での歩行者・自転車との衝突に大きく分かれる
  • 右折車には対向車の進行を妨げない義務があり、右折先の横断者にも注意が必要なため、過失が大きくなりやすい
  • 横断中の歩行者・自転車との事故では、交通弱者保護で右折車の過失がさらに大きい
  • 直進車の信号無視や著しい速度超過があれば、直進車側にも過失がつき修正される
  • 過失割合や賠償でもめたら弁護士への相談が有効

右折時の事故とは

右折車が不利になりやすい二つの理由

右折時の事故とは、交差点で右折しようとする車が、対向から直進してくる車や、右折した先の横断歩道を渡る歩行者・自転車などと衝突する事故です。右折は交差点の中で進路を大きく変える動作で、確認すべき対象が多いため、事故が起こりやすい場面です。

右折車が不利になりやすい理由は大きく二つあります。一つは、道路交通法上、右折車は対向直進車の進行を妨げてはならないとされていること。もう一つは、右折した先には横断歩道を渡る歩行者や自転車がいることが多く、これらの交通弱者の安全に配慮する義務が課されていることです。

この二つの義務を負うぶん、右折車には高い注意が求められます。結果として、右折時の事故では右折車の過失が大きく評価されやすい傾向があります。

典型的な事故パターン

右折時の事故には、いくつかの典型的なパターンがあります。最も多いのが、青信号で交差点に進入し右折を始めたところ、対向車線から直進してきた車と衝突する「右直事故」です。右折車が対向車との距離や速度を見誤って右折を始めることで起こります。

次に多いのが、右折した先の横断歩道で、青信号で横断していた歩行者や自転車をはねてしまうパターンです。右折車のドライバーは対向車に気を取られ、右折先の横断者への注意がおろそかになりがちです。

このほか、対向車線が渋滞で止まっており、その車列の間から出てきた二輪車と衝突するケースもあります。止まっている対向車に視界をさえぎられ、すり抜けてくる二輪車に気づきにくいことが原因です。

右折時の事故の過失割合

相手によって基本割合が変わる

右折時の事故の過失割合は、衝突した相手が何かによって大きく変わります。相手が対向直進車(四輪)の場合、直進車が優先されるため、原則として右折車の過失が大きく見られます。同じ青信号で進入したケースでは、右折車の過失が大きい側になるのが基本的な目安です。

相手が横断中の歩行者や自転車の場合は、交通弱者として手厚く保護されるため、右折車の過失はさらに大きく評価されます。とくに青信号で横断していた歩行者との事故では、歩行者側の過失がゼロに近くなることもあります。

下の表は、あくまで一般的な目安です。実際の割合はケースにより変動し、信号の状態や速度などの個別事情で修正されます。

右折時の事故の過失割合の考え方(目安・右折車:相手)
状況 過失割合の考え方(目安)
対向直進車(四輪)と衝突(双方青) 右折車の過失が大きい(右折車8前後)が目安
横断歩道を青信号で横断中の歩行者と衝突 右折車の過失が非常に大きい(歩行者の過失は小さい)
直進車が赤信号で進入・著しい速度超過 直進車側の過失が増え、右折車の負担が軽くなる

過失割合を修正する主な要素

基本割合は、当事者それぞれの事情によって修正されます。右折車に有利に働く(右折車の過失が減る)要素としては、直進車側の信号無視、直進車の著しい速度超過、直進車のわき見運転などが挙げられます。

逆に右折車に不利に働く(右折車の過失が増える)要素もあります。右折の合図を出していなかった、徐行せず大回りや早回りで右折した、右折先の横断者の確認を怠った、といった事情です。

さらに、相手が二輪車の場合は四輪同士よりも二輪側が保護され、右折車の過失が大きくなる傾向があります。これらの修正要素が複数重なると、最終的な割合は基本の目安から大きく動くことがあります。

事故直後に被害者がとるべき行動

安全確保から記録までを順番に

右折時の事故に遭ったら、まずは二次事故を防ぐため、可能なら車を安全な場所へ移動し、ハザードランプを点灯します。けが人がいれば、ためらわず救急(119番)に連絡してください。

次に警察(110番)へ届け出ます。これは法律上の義務であると同時に、交通事故証明書の発行に不可欠です。証明書がないと保険会社への賠償請求が難しくなります。けががあれば人身事故として届け出ましょう。

そのうえで、相手の連絡先・車両ナンバー・加入保険会社を控え、信号の状態が分かるよう現場や車両の損傷をスマホで撮影しておきます。痛みがなくても後日症状が出ることがあるため、当日か翌日には整形外科を受診しておくと安心です。

請求できる損害と揉めやすい点

請求できる損害の内訳

右折時の事故で被害者が請求できる損害には、治療費、通院のための交通費、ケガで仕事を休んだ場合の休業損害、入通院に対する慰謝料などがあります。後遺障害が残れば、後遺障害慰謝料や逸失利益も問題になりますが、これらの詳細は被害の程度によって大きく変わります。

車の修理費や、買い替えが必要な場合の評価額、レッカー代といった物損も請求の対象です。慰謝料は、自賠責保険の基準、任意保険会社の基準、過去の裁判例に基づく基準のどれで計算するかによって水準が変わり、裁判例に基づく基準がもっとも高くなりやすいとされます。とはいえ、必ずしも金額が上がるとは限らず、ケガの程度や通院期間によって結果は変わります。

信号と速度をめぐる対立

右折時の事故で最も揉めやすいのが、信号の状態をめぐる主張の食い違いです。「右折の青矢印で進んだ」「直進車が黄や赤で入ってきた」など、当事者の記憶が食い違い、過失割合の評価が大きく変わります。

また、直進車の速度も争点になりがちです。直進車が制限速度を大きく超えていたかどうかで、右折車の過失が修正されるためです。相手保険会社は自社に有利な前提で割合を提示してくることがあり、被害者側の認識とずれることが少なくありません。

こうした対立を埋めるには客観的な証拠が欠かせません。提示された割合に違和感があれば、根拠を確認し、安易に受け入れないことが大切です。

証拠の確保が判断を左右する

ドライブレコーダーと現場の記録

右折時の事故では、信号のタイミングや双方の速度を客観的に示せるかどうかが結果を左右します。最も有力なのがドライブレコーダーの映像で、信号の色や衝突直前の位置関係を裏づけられます。自分の車の映像はすぐに保存し、上書きされないようにしましょう。

交差点周辺の防犯カメラや、店舗・信号機に付属するカメラに事故が映っていることもあります。これらの映像は一定期間で消去されるため、早めに保全を依頼することが大切です。

加えて、目撃者がいれば連絡先を控え、警察の実況見分には立ち会って、自分の認識を正確に伝えましょう。後から記憶だけで争うより、事故直後の記録のほうがはるかに説得力を持ちます。

右折時の事故でもめたら

過失割合は弁護士に相談

右折時の事故は、信号の状態や相手の速度をめぐって主張が真っ向から対立しやすく、過失割合がもめやすい類型です。とくに歩行者・自転車との事故は被害が大きくなりやすく、賠償の算定も複雑になります。

提示された過失割合や賠償額に納得できないときは、交通事故にくわしい弁護士に相談することをおすすめします。映像などの証拠をもとに適正な割合の見通しを確認したうえで、対応を決めるとよいでしょう。