【車が修理不可能なほど破損したら】買替費用・代車使用料・休車補償を請求!

この記事のポイント

  1. 車が修理不可能なほど破損した場合、以下の損害項目を請求できる
  2. 「買替費用」=事故直前の車の時価相当額+買替諸費用
  3. 「代車使用料」=買替車が納入されるまでに必要なレンタカー代
  4. 「休車補償」=営業車が休業期間中の減収分

物損事故で車が修理不可能なほど破損した場合の損害賠償

物損事故で愛車が大破しても、慰謝料は請求できない

車同士の事故が起きたとき、誰もケガをせずに車だけが破損する場合があります。このようにモノだけが壊れた事故は「物損事故」と呼ばれ、死傷者が出た「人身事故」と区別されます。損害賠償における両者の大きな違いは、物損事故では慰謝料を請求できないことです。

たとえば、長年乗り続けた愛車が大破しても、慰謝料(精神的苦痛に対する補償金)はまったく認められません。では物損事故で車が修理不可能なほど破損した場合、どのような損害を加害者側に請求できるのでしょうか?具体的な賠償項目は以下の3つです。

  1. 買替費用
  2. 代車使用料
  3. 休車補償

外傷がなくても必ず医師の診断を

人身事故では自賠責保険から保険金が支払われますが、物損事故は自賠責保険が適用されません。したがって加害者本人、または加害者が加入している任意保険会社に損害賠償を求めることになります。

ただし、「車が修理不可能なほどに破損した」ということは、きっと事故の衝撃も大きかったはずです。外傷がなく、事故から数日後に発生する症状(むちうち症など)もあるので、必ず医師の診断を受けてください。物損事故から人身事故に切り替われば、治療費や慰謝料なども請求することができます。

【物損事故の賠償項目①】買替費用

事故直前の車の時価相当額+買替諸費用

車が修理不可能(全損)の場合、加害者側に買替費用を請求することができます。その金額は「事故直前の車の時価相当額」+「買替諸費用」。前者は乗っていた車の中古車としての価値を示す金額です。つまり、同車種の新車価格が賠償されるわけではありません。

事故直前の車の時価相当額は、中古車市場での売買価格(車種・年式・型・使用状態などが同種同等の車)やオートガイド自動車価格月報(レッドブック)、中古車価格ガイドブック(イエローブック)などをもとに算定されます。

車の時価相当額がゼロ円だったら?

長年乗り続けている中古車の場合、事故直前の時価相当額がゼロ円と算定されるケースがあります。すると、買替諸費用しか賠償されないことになりますが、一般的な感覚では納得できないでしょう。

そこで過去の判例では、購入時の金額から事故時まで減価償却した残額を賠償させたり、車検期限までの使用価値を認めて車両損害と認めたりした例があります。

買替諸費用=車の買替に必要な手数料や税金

「買替諸費用」とは、車を買い替える際に必要な手数料や税金などのこと。具体的には以下の8種類が該当します。廃車にすると事故車両の自動車税と自賠責保険料は還付されるので、その費用は請求できません。

手数料 ① 登録費用
② 車庫証明費用
③ 検査費用
④ 廃車費用
⑤ 納車費用
税金 ⑥ 自動車取得税
⑦ 事故車両の自動車重量税の未経過分(還付される部分をのぞく)
⑧ 消費税

【物損事故の賠償項目②】代車使用料

買替車が納入されるまでのレンタカー代

車の買替費用が賠償されるとしても、すぐに新しい車は手に入らないでしょう。そこで納車までの間に代車(レンタカーやタクシーなど)が必要になった場合、「代車使用料」を請求することができます。

ただし、実費の全額が賠償されるとは限りません。“必要かつ相当な範囲”として認められるのは、原則として事故車両と同クラスのレンタカー代です。極めて高価格の外車が破損したときは、国産高級車のレンタカー代相当しか認められない可能性もあります。

認められる代車の使用期間は約1~2週間

代車の使用期間として認められるのは、一般的に1~2週間ほどです。買替費用の算定などで加害者側ともめて代車の使用期間が長引いたとしても、全額は賠償されません。また、もともと休日のみに車を使用していた程度であれば、必要な日数分の費用しか認められないでしょう。

【物損事故の賠償項目③】休車補償

営業車が休業期間中の減収分

タクシーやトラックなどの営業車が破損して、すぐに代車や買替車が用意できない場合、その間の「休車補償」を請求することができます。これは休業を余儀なくされた期間の減収を補償するための賠償金。自社が保有する遊休車を使って損害をさけられる場合は請求できません(もしくは減額されます)。

休車補償=(1日あたりの平均売上―必要経費)×休業日数

休車補償(休車損害)の算定式は上記の通りです。原則として「1日あたりの平均売上」は事故前から3ヵ月間以上の期間の平均をベースとします。具体的な金額は景気同行、車両の稼働率、休車時期(繁忙期/通常期/閑散期)などを総合的に考慮。「必要経費」とは、ガソリン代や通行料など休車によって浮いた経費です。

したがって、適正な休車補償を請求するためには、事故前の売上や経費などを証明する資料が必要です。税務申告書類、会社の帳簿、監督官庁に対する報告書などを用意してください。

物損事故の損害賠償に不満を感じたら

まずは弁護士に相談。保険特約の確認も

一般的に人身事故よりも物損事故のほうが損害賠償額は少ないですが、トラブルは少なくありません。その理由のひとつは、過失割合について争いが生じすいためです。大半の物損事故は被害者にもなんらかの過失があったと判断されますが、どちらもケガをしていないので主張を譲らない傾向があるのです。

休車補償についても、金額が大きいほど保険会社が賠償額を争ってくる傾向があります。もし物損事故の損害賠償に不満を感じたら、交通事故分野に強い弁護士に相談してみましょう。あなたが加入している自動車保険に「弁護士費用特約」がついていれば、実質的な自己負担なしで弁護士に依頼することができます。

交通事故に巻き込まれてしまい、弁護士をお探しの方へ

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  • 保険会社の対応に不満がある。
  • 保険会社の慰謝料提示額に納得がいかない。
  • 過失割合に納得がいかない。
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