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【車同士の物損事故で損害賠償請求できる項目】修理費用・評価損・代車使用料・休車補償

この記事のポイント

  • 車同士の物損事故で請求できる損害項目は「修理費用」「評価損」「代車使用料」「休車補償」
  • 車が修理可能な場合、「修理費用」が賠償される
  • 車が修理不可能な場合、「事故直前の車の時価相当額+買替諸費用」が賠償される
  • 「評価損」の賠償は認められにくい。認められる場合は修理費用の1~3割
  • 車の修理期間中などに代車が必要な場合、「代車使用料」が賠償される
  • 営業車が破損して休業を余儀なくされた場合、「休車補償」が賠償される

物損事故の基礎知識

車同士の事故で請求できる4つの賠償項目
車同士の接触事故が起きたとき、誰もケガをせずに車だけが破損する場合があります。このようにモノだけが壊れた事故を「物損事故」といい、死傷者が出た「人身事故」と区別されます。そして、車同士の物損事故で加害者に請求できる損害項目は以下の4種類です。

  1. 車の修理費用(または事故直前の時価相当額+買替諸費用)
  2. 車の評価損(格落ち)
  3. 代車使用料
  4. 休車補償

物損事故は慰謝料を請求できない

人身事故と異なる点のひとつは、慰謝料(精神的・肉体的苦痛に対する補償金)を請求できないことです。長年乗り続けた愛車が大破して精神的苦痛を感じても、慰謝料は1円も認められません。車の修理費用や買替費用など、物的損害のみが賠償の対象となります。

また、人身事故では自賠責保険から保険金が支払われますが、物損事故は自賠責保険が適用されません。加害者本人、または加害者が加入している任意保険会社に損害賠償を請求することになります。

【物損事故の賠償項目①】車の修理費用

A)修理可能な場合/修理費用(買替費用を下回るとき)

車の破損に対する損害賠償については、修理できるかどうかで考え方が違います。まず修理可能な一部破損の場合、原則として修理費用の全額が賠償範囲です。もし修理可能な車を売却したら、「修理代相当額」と「事故直前の車の時価相当額-売却価格」のどちらか低いほうの金額が支払われます。

ただし、修理費用が車の買替費用(事故直前の車の時価相当額+買替諸費用)を上回る場合は、後者の金額しか認められません。たとえ「愛車を修理して乗り続けたい」と思っても、買い替えたほうが安いときは修理費用の一部しか賠償されないのです。

B)修理不可能な場合/事故直前の車の時価相当額+買替諸費用

車が修理不可能な場合、「事故直前の車の時価相当額+買替諸費用」が賠償されます。「事故直前の車の時価相当額」を算定する際は、中古車市場での売買価格(車種・年式・型・使用状態などが同種同等の車)やオートガイド自動車価格月報(レッドブック)、中古車価格ガイドブック(イエローブック)などが参考にされます。

「買替諸費用」とは、車を買い替える際に必要な手数料や税金などをさし、以下の8種類が該当します。廃車にすると事故車両の自動車税と自賠責保険料は還付されるので、これらは請求できません。

買替諸費用の一覧
手数料 ① 登録費用
② 車庫証明費用
③ 検査費用
④ 廃車費用
⑤ 納車費用
税金 ⑥ 自動車取得税
⑦ 事故車両の自動車重量税の未経過分(還付される部分をのぞく)
⑧ 消費税

【物損事故の賠償項目②】車の評価損

保険会社は評価損を基本的に認めない

車を修理しても、その時価相当額(評価額)が事故前より下がることがあります。たとえば事故直前なら100万円で売れたのに、事故歴がついたせいで70万円でしか売れなくなるケースがあるのです。このような損害を「評価損」といいます。

この評価損(格落ち)は客観的な評価が難しく、争いになりやすいポイントです。基本的に交渉では、加害者側の保険会社が損害と認めないでしょう。そのため、評価損の請求については弁護士に相談することをおすすめします。

評価損の目安は修理費用の1~3割(裁判で認められた場合)

裁判で評価損が認められる場合、賠償額の目安は修理費用の1~3割程度です(評価損自体が認められない場合もあります)。中古車市場での評価額が高い新車や高級車では、それ以上の割合が認められるケースも。ただし、定型的な基準はなく、登録後の期間、新車の販売価格、損傷の箇所・程度などによって総合的に判断されます。

【物損事故の賠償項目③】代車使用料

修理期間中などに使用したレンタカー代

事故で車が破損すると修理や買い替えを行いますが、すぐに修理が終わったり、買替車が納入されたりはしないでしょう。すると、修理期間中や納車までの間に代車(レンタカーやタクシーなど)が必要になります。

そこで被害者が代車を使用した場合、加害者側に「代車使用料」を請求できます。“必要かつ相当な範囲”として認められる使用料は、原則として事故車両と同クラスのレンタカー代。ただし、極めて高価格の外車が破損したときは、国産高級車のレンタカー代相当しか認められないと考えられます。

代車の使用期間は1~2週間程度が認められる

代車の使用期間として認められるのは、原則として1~2週間程度です。修理費用の見積りや部品の調達に時間を要するなど、合理的な理由があれば1~2ヵ月程度の期間が認められるケースもあります。しかし、修理の範囲などで加害者側ともめて代車の使用期間が長引いた場合、全期間分の支払いは期待できません。

また、もともと休日だけ車を使用していた程度であれば、必要な日数分しか代車使用料は認められません。代車ではなく公共交通機関を使った場合は、その実費が賠償範囲となります。

【物損事故の賠償項目④】休車補償

(1日あたりの平均売上―必要経費)×休業日数

タクシーやトラックなどの営業車が破損し、すぐに代車が用意できない場合、「休車補償」を請求できます。これは休業期間中(車の修理期間中、買い替え期間中、代車が用意できるまでの間など)の減収分に対する損害賠償。基本的な算定式は上記の通りです。

「1日あたりの平均売上」は事故前から3ヵ月間以上の期間の平均をベースとします。具体的な金額は、景気同行・車両の稼働率・休車時期(繁忙期/通常期/閑散期)などを総合的に考慮。「必要経費」とは、ガソリン代や通行料など休車によって浮いた経費をさします。

保有する遊休車を使えれば、休車補償を請求できない

適正な休車補償を請求するためには、事故前の売上・経費などを証明する資料が必要です。具体的には税務申告書類、会社の帳簿、監督官庁に対する報告書など。自社が保有する遊休車を使って損害を回避できた場合は、基本的に休車補償は請求できません(または減額されます)。

物損事故の損害賠償の内容に不満があったら

交通事故分野に精通した弁護士に相談を

一般的に人身事故よりも物損事故のほうが損害賠償額は少ないですが、トラブルは少なくありません。その理由は「評価損」「休車補償」「過失割合」などが争点になりやすいからです。前述したように、保険会社は原則として評価損を認めません。休車補償についても、金額が大きくなると譲歩は期待できないでしょう。

そして、過失割合も交渉では基本的に変わりません。大半の物損事故は被害者にもなんらかの過失があったと判断されますが、相手にケガをさせていないため、互いに主張を譲らない傾向があるのです。

加入している自動車保険の「弁護士費用特約」を確認

もし物損事故の損害賠償に不満があったら、交通事故分野に精通した弁護士に相談してみましょう。あなたが加入している自動車保険に「弁護士費用特約」がついていれば、実質的な自己負担なしで弁護士に相談・依頼することができます。まずは保険会社や保険代理店に契約内容を確認してください。

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