交通事故の後遺障害13級の慰謝料相場は?その症状と認定基準も解説!

この記事のポイント

後遺障害13級の慰謝料相場「自賠責基準」57万円→「裁判基準」180万円

弁護士に依頼すれば、「自賠責基準」による最低限の慰謝料ではなく、「裁判基準」にもとづいた適正な慰謝料を得られる。その増額目安は100万円~120万円ほど。裁判をすれば満額(180万円)、示談交渉では9割程度の金額(約160万円)になる可能性が高い。

※上記の金額は「後遺障害慰謝料」を示したものです。損害賠償金には、その他に「入通院慰謝料」「治療関係費」「休業損害」「逸失利益」などが含まれます。
※示談交渉によって得られる慰謝料は個別のケースによって異なります。

弁護士に依頼すると、どのくらい慰謝料が増額する?

自賠責保険による慰謝料から120万円以上アップ!

ケガが治った後でも身体に残っている障害のことを「後遺障害」といいます。この障害が交通事故のせいで生じた場合、加害者に「後遺障害慰謝料」を請求することができます。そこで本稿では、後遺障害13級に対する慰謝料や認定基準などについて、わかりやすく解説していきます。

自賠責保険では必要最低限の補償しか支払われない

後遺障害慰謝料は「自動車損害賠償保障法」に定められた後遺障害の等級と支払い基準によって計算されます。強制保険である自賠責保険では、後遺障害13級の慰謝料は「57万円」。しかし、この「自賠責基準」は国が決めた必要最低限の補償にすぎません。

裁判では、もっとも慰謝料の高い基準が使われる

慰謝料の算出基準には「自賠責基準」の他に「任意保険基準」「裁判基準(弁護士基準)」があります。3つの基準のなかでもっとも金額が高くなるのは「裁判基準」です。これは過去の判例にもとづいた法的に適正な基準であり、弁護士が相手方の保険会社と交渉するときに使用されます。

裁判基準による後遺障害13級の慰謝料は180万円

後遺障害13級の場合、裁判基準による後遺障害の慰謝料は「180万円」。裁判になれば、保険会社はこの金額を支払うことになります。したがって、弁護士に依頼することで120万円ほどアップする可能性が高いのです(さらに入通院慰謝料も裁判基準にもとづいた金額にアップします)。

後遺障害13級の慰謝料を増額させる際の注意点

裁判には半年以上の期間が必要。示談交渉でも100万円ほど増額

後遺障害の慰謝料をはじめ、弁護士による損害賠償金の請求は基本的に示談交渉から始まります。訴訟を起こせる弁護士が交渉することによって、保険会社の譲歩を引き出せるのです。一般的に裁判は半年以上の期間がかかるため、早期解決を望む場合は示談交渉がいいでしょう。

示談交渉で譲歩を引き出せる金額は「裁判基準」の9割前後

示談交渉後の慰謝料額は弁護士の交渉力や保険会社の対応などによって変わりますが、おおむね裁判基準の9割前後です。つまり、後遺障害13級では「約160万円」。自賠責基準から100万円ほど増額します。

保険会社の「これが最大限の金額」という説明は正しくない?

被害者本人が相手方の保険会社と交渉しても、裁判基準による慰謝料が提示されることはありません。担当者から「これが最大限の金額です」などと増額した慰謝料を説明されるケースもありますが、それは自賠責基準よりも少し高い程度。「任意保険基準」と呼ばれる各保険会社の独自基準で計算しただけです。

保険会社は支払い額をおさえたいので、丁寧に説明しない

つまり、担当者の説明は「社内基準では最大限の金額」という意味にすぎません。裁判基準ではさらに高い金額になるとわかっていても、自社の支出(保険金の支払い額)が増えるだけ。それゆえ、丁寧に説明してくれないのです。

後遺障害の適正な等級認定を受けるためのポイント

事故発生当初から定期的に通院し、一貫した症状を訴える

一般的な意味での「後遺症」と、法律で定められた「後遺障害」は少し定義が異なります。「後遺障害」に認められるためには、以下のような条件を満たし、なおかつ診断書や資料などで存在を証明する必要があります。

  1. 事故の状況と被害者が医師に申告する症状の程度が一致している
  2. 事故発生当初から医療機関へ定期的に通院している
  3. 事故当初から被害者が訴える症状が続いており、一貫性がある
  4. 症状が重いと認められ、日常生活において症状が継続している
  5. 症状と矛盾のない画像診断や検査結果がある

「仕事が忙しいから」と通院をおこたるのは禁物

たとえば「仕事が忙しいから」と痛みをガマンして通院をおこたると、上記②の条件が満たされません。「定期的に通院していない」=「たいしたケガではない」=「後遺障害にはあたらない」と判断される可能性があります。

重要な認定資料「後遺障害診断書」の作成に不慣れな医師も

後遺障害第13級では「失ったもの」と「用を廃したもの」の判断が非常に難しいため、医師と密にコミュニケーションをとるべきです。もしも医師に自覚症状を詳しく伝えなければ、実際の障害と診断書の内容にズレが生じかねません。

通院期間中から交通事故の分野に精通した弁護士に相談すべき

後遺障害の適正な等級認定を受けるためには、カルテや診断書はもちろん、「後遺障害診断書」を詳細かつ正確に記載してもらうことが重要です。医師のなかには後遺障害診断書の作成に不慣れな方もいるので、通院期間中から交通事故の分野に精通した弁護士に相談することをおすすめします。

後遺障害13級の認定基準とは?

11分類のいずれかにあてはまれば、認定を受けられる

後遺障害の等級はもっとも重いものが1級、そこから軽くなるごとに級数が増え、もっとも軽い等級が14級です。さらに障害を負った部位によって、後遺障害13級は1号から11号に分類されています。

的確な認定を受けて、適正な損害賠償金を請求

後遺障害13級は「日常生活に大きな影響を与えない後遺障害」とされ、健常者とそれほど変わらない症状もあります。しかし、適正な損害賠償金を請求するためには的確な認定を受けたいもの。以下11分類のいずれかにあてはまれば、原則として13級に認定されます。

後遺障害13級/11段階の分類
1号 1眼の視力が0.6以下になったもの
2号 正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの
3号 1眼に半盲症、視野狭窄、または視野変状を残すもの
4号 両眼のまぶたの一部に欠損を残し、またはまつげはげを残すもの
5号 5歯以上に歯科補綴をくわえたもの
6号 1手の小指の用を廃したもの
7号 1手の親指の指骨の一部を失ったもの
8号 1下肢を1cm以上短縮したもの
9号 1足の第3の足指以下の1、または2の足指を失ったもの
10号 1足の第2の足指の用を廃したもの、第2の足指を含み2の足指の用を廃したもの、または第3の足指以下の3の足指の用を廃したもの
11号 胸腹部臓器の機能に障害を残すもの

後遺障害13級と判断される具体的な症状

1)1眼の視力が0.6以下になったもの

片目の視力が0.6以下という人は多くいるので、交通事故が原因で視力が低下したケースに限られます。さらに裸眼視力ではなく、「メガネやコンタクトレンズなどで視力矯正をしても0.6以下となること」が条件です。

2)正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの

複視とは、物が二重に見える症状です。乱視は片目でも物が二重に見えますが、複視は「両目で見ているときに物が二重に見える」という症状を示します。正面を見ても複視の症状が出るケースは、より重い後遺障害10級となります。

3)1眼に半盲症、視野狭窄、または視野変状を残すもの

半盲症とは、視野の右半分、または左半分が欠けることです。交通事故により起こる半盲症、視野狭窄(せまくなる)、視野変状(視野欠損など)は後遺障害13級となります。

4)両眼のまぶたの一部に欠損を残し、またはまつげはげを残すもの

交通事故によって両方のまぶたの一部が欠損してしまった場合、またはまつげが半分以上失われた場合です。具体的には「まぶたを閉じた状態で、黒目は隠れても白目の一部が露出してしまう状態」、または「眼球全体をおおえていても、まつげが半分以上なくなり生えてこない状態」をさします。

5)5歯以上に歯科補綴をくわえたもの

歯科補綴(ほてつ)とは、歯科医による適切な治療のこと。交通事故により歯が失われたり欠けたりした後、「差し歯を入れたりブリッジなどで義歯をつけたりした場合」です。日常生活に不便はなくても、後遺障害として認められます。

6)1手の小指の用を廃したもの

交通事故により片手の小指において「末関節(第一関節より先の骨)の欠損で長さが2分の1以下になる」「小指の根元あるいは第二関節の可動範囲が2分の1になる」「小指の感覚がまったくなくなる」といった障害が残った際に13級と認定されます。

7)1手の親指の指骨の一部を失ったもの

交通事故により「片手の親指において骨の一部が欠け遊離骨折を起こした場合」、13級と認定されます。これら片手の指の後遺障害においては、左右による等級の差や利き手(腕)の区別はありません。

8)1下肢を1cm以上短縮したもの

交通事故により片足の長さが1cm以上3cm未満、短くなってしまった場合は13級に認定されます。1cm未満の差は健常者でもあるため、日常生活に支障がないと判断されています。

9)1足の第三の足指以下の1、または2の足指を失ったもの

交通事故により「片足の中指・薬指・小指の3本のうち、1本または2本の指の第一関節から根元で切断してしまった状態」をさします。片足の3本の指を失ってしまうと、後遺障害の等級が上がります。

10)1足の第2の足指の用を廃したもの、第2の足指を含み2の足指の用を廃したもの、または第3の足指以下の3の足指の用を廃したもの

交通事故により「片足の人さし指の第一関節から根元より手前で切断した場合、または可動範囲が2分の1になった状態」をさします。人さし指にくわえ、中指・薬指・小指のうち1本が第一関節から根元より手前で切断したもの、または指の可動範囲が2分の1になったものも13級です。

さらに、片足の中指、薬指、小指の3本すべてを第一関節から根元より手前で切断した場合、またはこれらの指の可動範囲が2分の1になったものも13級です。

11)胸腹部臓器の機能に障害を残すもの

交通事故で内臓にダメージを負い、日常生活に支障が残った場合に認定されます。具体的には「胃の全部あるいは一部を切除した」「胆のうを失った」「脾臓を失った」「腎臓を失うか、著しく機能を失った」「睾丸や卵巣の片方が失われた」「生殖行為は可能だが、その機能に障害が残った」というケースがあげられます。

後遺障害の認定サポートを行っている弁護士に相談

あくまで医師は治療のプロであって、後遺障害認定の専門家ではありません。被害者本人は上記の分類にあてはまると思っていても、カルテや診断書、検査結果などの記載内容によって13級に認定されない可能性もあります。適正な等級認定を得るためには、後遺障害の認定サポートを行っている弁護士に相談したほうがいいでしょう。

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