後遺障害の等級認定

交通事故の後遺障害10級の慰謝料相場は?その症状と認定基準も解説!

交通事故の後遺障害10級の慰謝料相場は?その症状と認定基準も解説!

この記事のポイント

後遺障害10級の慰謝料相場「自賠責基準」187万円→「裁判基準」550万円

弁護士に依頼すれば、「自賠責基準」による最低限の慰謝料ではなく、「裁判基準」にもとづいた適正な慰謝料を得られる。その増額目安は300万円~360万円ほど。裁判をすれば満額(550万円)、示談交渉では9割程度の金額(約495万円)になる可能性が高い。

※上記の金額は「後遺障害慰謝料」を示したものです。損害賠償金には、その他に「入通院慰謝料」「治療関係費」「休業損害」「逸失利益」などが含まれます。
※示談交渉によって得られる慰謝料は個別のケースによって異なります。

弁護士に依頼すると、どのくらい慰謝料が増額する?

自賠責保険による慰謝料から360万円以上アップ!

交通事故で負ったケガが治った後も身体に残ってしまう障害を、「後遺障害」と呼びます。事故が原因でこうした障害が残ったとき、被害者は加害者側へ「後遺障害慰謝料」を求めることができます。ここでは、後遺障害10級にあたる慰謝料の水準や、その等級がどのように認定されるのかを、具体的に解説していきます。

自賠責保険では必要最低限の補償しか支払われない

後遺障害慰謝料は、「自動車損害賠償保障法」が定める等級区分と支払い基準にしたがって算定されます。加入が義務づけられた自賠責保険の場合、後遺障害10級に支払われる慰謝料は「187万円」です。ただし、この自賠責基準で計算される額は、国が定めた最低限の補償にとどまります。

裁判では、もっとも慰謝料の高い基準が使われる

慰謝料を算出する物差しには、「自賠責基準」のほかに「任意保険基準」と「裁判基準(弁護士基準)」があります。3つのうち被害者がもっとも高い金額を受け取れるのが「裁判基準」です。この基準は過去の判例の積み重ねにもとづいた法的に妥当な水準であり、弁護士が加害者側の保険会社と交渉する場面で用いられます。

裁判基準による後遺障害10級の慰謝料は550万円

後遺障害10級であれば、裁判基準で算定したときの慰謝料は「550万円」が目安です。裁判まで進めば、保険会社はこの金額を支払うことになります。つまり弁護士に依頼すれば、360万円以上の上積みが見込めるわけです(あわせて入通院慰謝料も裁判基準の金額へと引き上げられます)。

後遺障害10級の慰謝料を増額させる際の注意点

裁判には半年以上の期間が必要。示談交渉でも300万円ほど増額

後遺障害慰謝料をはじめとして、弁護士が手がける損害賠償の請求は、まず示談交渉という形からスタートするのが通常です。訴訟も辞さない弁護士が間に入ることで、保険会社から譲歩を引き出せるようになります。ただ、裁判は決着まで半年以上かかるのが一般的なので、早期の解決を望むのであれば示談交渉での合意を目指すとよいでしょう。

示談交渉で譲歩を引き出せる金額は「裁判基準」の9割前後

示談交渉でまとまる慰謝料の額は、弁護士の交渉力や相手方保険会社の対応によって変わってきますが、目安としては裁判基準のおよそ9割に落ち着きます。後遺障害10級でいえば「約495万円」にあたり、自賠責基準の187万円からは300万円ほどの上乗せとなります。

保険会社の「これが最大限の金額」という説明は正しくない?

被害者が自分だけで相手方の保険会社と交渉しても、裁判基準にもとづく慰謝料が提示されることはまずありません。担当者から「これ以上は出せません」と説明されることもありますが、その額は自賠責基準を少し上回る程度で、各社が独自に定める「任意保険基準」で計算しただけの数字にすぎないのです。

保険会社は支払い額をおさえたいので、丁寧に説明しない

要するに、担当者のいう「最大限」は「あくまで自社の基準のなかでの最大限」という意味でしかありません。裁判基準ならもっと高くなると理解していても、それを認めれば自社が負担する保険金が増えてしまいます。だからこそ、保険会社の側から進んで詳しく説明してくれることはないのです。

後遺障害の適正な等級認定を受けるためのポイント

事故発生当初から定期的に通院し、一貫した症状を訴える

日常で使う「後遺症」という言葉と、法律上の「後遺障害」とでは、意味するところが少し異なります。「後遺障害」と認められるには、次の要件を満たしたうえで、診断書や各種資料によってその障害が確かに残っていることを証明しなければなりません。

  1. 事故の状況と被害者が医師に申告する症状の程度が一致している
  2. 事故発生当初から医療機関へ定期的に通院している
  3. 事故当初から被害者が訴える症状が続いており、一貫性がある
  4. 症状が重いと認められ、日常生活において症状が継続している
  5. 症状と矛盾のない画像診断や検査結果がある

「仕事が忙しいから」と通院をおこたるのは禁物

たとえば「仕事が忙しいから」と痛みを我慢して通院を怠ってしまうと、上記②の要件が満たせなくなります。「定期的に通院していない」ことが、「たいしたケガではない」、ひいては「後遺障害にはあたらない」という判断につながってしまうおそれがあるのです。

重要な認定資料「後遺障害診断書」の作成に不慣れな医師も

これらの要件を満たすうえでは、医師との緊密なやり取りが欠かせません。自覚している症状をきちんと医師へ伝えておかなければ、必要な検査が行われず、現実の障害と診断書の記載内容との間に食い違いが生じてしまうおそれがあります。

通院期間中から交通事故の分野に精通した弁護士に相談すべき

適正な等級認定を受けるには、カルテや一般の診断書はもちろん、「後遺障害診断書」を細部まで正確に書いてもらうことが鍵になります。ただ、後遺障害診断書の記載に慣れていない医師も少なくないため、通院している段階から交通事故案件に強い弁護士へ相談しておくことをおすすめします。

後遺障害10級の認定基準とは?

11分類のいずれかにあてはまれば、認定を受けられる

後遺障害の等級は、もっとも重い障害が1級とされ、軽くなるにつれて数字が大きくなり、もっとも軽いものが14級です。そのうえで、障害を負った身体の部位に応じて、後遺障害10級はさらに1号から11号までに区分されています。

的確な認定を受けて、適正な損害賠償金を請求

後遺障害10級の労働能力喪失率は27%とされており、決して軽い障害とはいえません。正しく認定を受けたうえで、それに見合った損害賠償金を請求しましょう。以下11分類のいずれかにあてはまれば、原則として10級に認定されます(11級以下の後遺障害が複数残っていると、併合で10級に認定される場合もあります)。

後遺障害10級/11段階の分類
1号 1眼の視力が0.1以下になったもの
2号 正面を見た場合に複視の症状を残すもの
3号 咀嚼または言語の機能に障害を残すもの
4号 14歯以上に対し歯科補綴をくわえたもの
5号 両耳の聴力が1m以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの
6号 1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの
7号 1手の親指、または親指以外の2の手指の用を廃したもの
8号 1下肢を3cm以上短縮したもの
9号 1足の第1の足指、または他の4の足指を失ったもの
10号 1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
11号 1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの

後遺障害10級と判断される具体的な症状

1)1眼の視力が0.1以下になったもの

交通事故が原因で視力が低下したケースに限られます。判断の対象となるのは裸眼視力ではなく、「メガネやコンタクトレンズで矯正してもなお0.1以下にとどまること」が条件です。

2)正面を見た場合に複視の症状を残すもの

複視とは、物が二重に見えてしまう症状です。乱視は片目だけでも物が二重に見えますが、複視は「両目で見ているときに物が二重に見える」点が異なります。なお、正面以外を見たときにだけ複視が出るケースは12級となります。

3)咀嚼または言語の機能に障害を残すもの

あごの骨や筋肉が損傷したり、脳や神経に障害が残ったりした場合に、これらの障害が生じることがあります。10級に当てはまる咀嚼障害は、「歯ごたえのある堅いものが食べられない状態」を指します。

言語障害は、「口唇音・歯舌音・口蓋音・咽頭音という4種類の発音方法のうち、1種類の発音ができなくなった状態」を指します。なお、咀嚼障害と言語障害の両方が残った場合は9級となります。

4)14歯以上に対し歯科補綴をくわえたもの

歯科補綴(ほてつ)とは、歯科医による適切な治療を指します。交通事故で歯を失ったり欠けたりした後、「差し歯を入れたり、ブリッジなどで義歯を取りつけたりした場合」が該当します。日常生活に不便がなくても、後遺障害として認められます。

歯に対する後遺障害は5段階に区分されており、「14歯以上が10級」「10歯以上13歯未満が11級」「7歯以上9歯未満が12級」「5歯または6歯が13級」「3歯または4歯が14級」となっています。

5)両耳の聴力が1m以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの

具体的には、「両耳の平均純音聴力レベルが50デシベル以上の状態」、あるいは「両耳の平均純音聴力レベルが40デシベル以上で、なおかつ最高明瞭度が70%以下の状態」を指します。

6)1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの

耳に接するほど近づかなければ、大声でさえ聞き取れない程度の障害です。具体的には、「片方の耳の平均純音聴力レベルが80デシベル以上90デシベル未満になった状態」を指します。

7)1手の親指、または親指以外の2の手指の用を廃したもの

片手の親指、あるいは親指を除く2本の指の用を廃したケースです。ここでいう“用を廃した”とは、「末節骨の2分の1以上を失った状態」「親指の撓側外転(例:親指を立てる動き)または掌側外転(例:親指を手のひらにつける動き)のいずれかについて、動かせる範囲が2分の1になった状態」などを指します。

8)1下肢を3cm以上短縮したもの

骨折などの治療の過程で、片方の足が3cm以上短くなったケースです。短縮が5cm以上であれば8級、1cm以上3cm未満であれば13級となります。片足が短くなると歩行に支障が生じ、労働能力の低下につながります。

9)1足の第1の足指、または他の4の足指を失ったもの

片足の親指、あるいは親指を除く4本の足指を失ったケースです。これは画像ではっきりと判別できるため、認定を得るのはそれほど難しくありません。

10)1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの

片腕の3大関節(肩・ひじ・手首)のうち、1つの関節に著しい機能障害が残ってしまったケースです。ここでいう“著しい障害”とは、「事故の前と比べて可動域が2分の1になった状態」を指します。関節がまったく動かない場合や可動域が10%以下になった場合は、8級にあたります。

11)1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの

片足の3大関節(股関節・ひざ・足首)のうち、1つの関節に著しい機能障害が残ってしまったケースです。“著しい障害”と判断する基準は、10号の上肢のケースと同じです。

後遺障害の認定サポートを行っている弁護士に相談

医師はあくまで治療の専門家であり、後遺障害の認定に精通しているわけではありません。被害者ご本人が「これは上記の分類に該当するはずだ」と考えていても、カルテや診断書、検査結果などの書きぶり次第では、10級として認定されないこともあります。納得のいく等級認定を得るためにも、後遺障害の認定サポートに対応している弁護士へ相談しておくと安心です。