交通事故の後遺障害14級の慰謝料相場は?その症状と認定基準も解説!

この記事のポイント

後遺障害14級の慰謝料相場「自賠責基準」32万円→「裁判基準」110万円

弁護士に依頼すれば、「自賠責基準」による最低限の慰謝料ではなく、「裁判基準」にもとづいた適正な慰謝料を得られる。その増額目安は70万円~80万円ほど。裁判をすれば満額(110万円)、示談交渉では9割程度の金額(約100万円)になる可能性が高い。

※上記の金額は「後遺障害慰謝料」を示したものです。損害賠償金には、その他に「入通院慰謝料」「治療関係費」「休業損害」「逸失利益」などが含まれます。
※示談交渉によって得られる慰謝料は個別のケースによって異なります。

弁護士に依頼すると、どのくらい慰謝料が増額する?

自賠責保険による慰謝料から80万円近くアップ!

ケガが治った後でも身体に残っている障害のことを「後遺障害」といいます。この障害が交通事故のせいで生じた場合、加害者に「後遺障害慰謝料」を請求することができます。そこで本稿では、後遺障害14級に対する慰謝料や認定基準などについて、わかりやすく解説していきます。

自賠責保険では必要最低限の補償しか支払われない

後遺障害慰謝料は「自動車損害賠償保障法」に定められた後遺障害の等級と支払い基準によって計算されます。強制保険である自賠責保険では、後遺障害14級の慰謝料は「32万円」。しかし、この「自賠責基準」は国が決めた必要最低限の補償にすぎません。

裁判では、もっとも慰謝料の高い基準が使われる

慰謝料の算出基準には「自賠責基準」の他に「任意保険基準」「裁判基準(弁護士基準)」があります。3つの基準のなかでもっとも金額が高くなるのは「裁判基準」です。これは過去の判例にもとづいた法的に適正な基準であり、弁護士が相手方の保険会社と交渉するときに使用されます。

裁判基準による後遺障害14級の慰謝料は110万円

後遺障害14級の場合、裁判基準による後遺障害の慰謝料は「110万円」。裁判になれば、保険会社はこの金額を支払うことになります。したがって、弁護士に依頼することで78万円ほどアップする可能性が高いのです(さらに入通院慰謝料も裁判基準にもとづいた金額にアップします)。

後遺障害14級の慰謝料を増額させる際の注意点

裁判には半年以上の期間が必要。示談交渉でも70万円ほど増額

後遺障害の慰謝料をはじめ、弁護士による損害賠償金の請求は基本的に示談交渉から始まります。訴訟を起こせる弁護士が交渉することによって、保険会社の譲歩を引き出せるのです。一般的に裁判は半年以上の期間がかかるため、早期解決を望む場合は示談交渉がいいでしょう。

示談交渉で譲歩を引き出せる金額は「裁判基準」の9割前後

示談交渉後の慰謝料額は弁護士の交渉力や保険会社の対応などによって変わりますが、おおむね裁判基準の9割前後です。つまり、後遺障害14級では「約100万円」。自賠責基準から70万円近く増額します。

保険会社の「これが最大限の金額」という説明は正しくない?

被害者本人が相手方の保険会社と交渉しても、裁判基準による慰謝料が提示されることはありません。担当者から「これが最大限の金額です」などと増額した慰謝料を説明されるケースもありますが、それは自賠責基準よりも少し高い程度。「任意保険基準」と呼ばれる各保険会社の独自基準で計算しただけです。

保険会社は支払い額をおさえたいので、丁寧に説明しない

つまり、担当者の説明は「社内基準では最大限の金額」という意味にすぎません。裁判基準ではさらに高い金額になるとわかっていても、自社の支出(保険金の支払い額)が増えるだけ。それゆえ、丁寧に説明してくれないのです。

後遺障害の適正な等級認定を受けるためのポイント

事故発生当初から定期的に通院し、一貫した症状を訴える

一般的な意味での「後遺症」と、法律で定められた「後遺障害」は少し定義が異なります。「後遺障害」に認められるためには、以下のような条件を満たし、なおかつ診断書や資料などで存在を証明する必要があります。

  1. 事故の状況と被害者が医師に申告する症状の程度が一致している
  2. 事故発生当初から医療機関へ定期的に通院している
  3. 事故当初から被害者が訴える症状が続いており、一貫性がある
  4. 症状が重いと認められ、日常生活において症状が継続している
  5. 症状と矛盾のない画像診断や検査結果がある

適切に対応しなければ、後遺障害に認められない?

後遺障害のなかで「14級」はもっとも軽い等級です。そのため、診断書や資料、通院頻度などの細かな違いによって「14級」と「非該当(後遺障害にあたらない)」に判断が分かれる可能性があります。したがって、上記5つの条件をふまえて事故直後から適切な対応に努めましょう。

「仕事が忙しいから」と通院をおこたるのは禁物

後遺障害14級の労働能力喪失率は5%。少しガマンすれば仕事ができるレベルなので、通院より仕事を優先してしまうかもしれません。しかし、定期的に通院しなければ、上記②の条件が満たされません。

「定期的に通院していない」=「たいしたケガではない」=「後遺障害にはあたらない」と判断される可能性があります。週に一度くらいは通院し、治療の必要があったことを明らかにしておきましょう。

知っておきたい自覚症状の正確な伝え方

上記③の条件にあるように、後遺障害の認定には“症状の一貫性”が必要です。たとえば、雨が降ると痛みが増す場合、その日だけ「痛い」と医師に伝えるのは不十分。診断書に「雨の日に痛くなる」という旨の記載がされると、「症状が一貫していない」と判断される可能性があります。

雨の日に痛くなる?雨の日はより痛みが強くなる?

ウソをついてはいけませんが、晴れた日も痛みを感じているなら医師にしっかり自覚症状を伝えてください。すると診断書に「雨の日はより痛みが強くなる」という旨の記載がされ、「症状が一貫している」と判断されやすくなります。

重要な認定資料「後遺障害診断書」の作成に不慣れな医師も

通院期間中から交通事故の分野に精通した弁護士に相談すべき

後遺障害の適正な等級認定を受けるためには、カルテや診断書はもちろん、「後遺障害診断書」を詳細かつ正確に記載してもらうことが重要です。医師のなかには後遺障害診断書の作成に不慣れな方もいるので、通院期間中から交通事故の分野に精通した弁護士に相談することをおすすめします。

後遺障害14級の認定基準とは?

9分類のいずれかにあてはまれば、認定を受けられる

後遺障害の等級はもっとも重いものが1級、そこから軽くなるごとに級数が増え、もっとも軽い等級が14級です。労働能力喪失率は5%とされるので、健常者とそれほど変わらない症状もあります。

14級に認められるかどうかで損害賠償額が大きく変化

14級の条件を満たさなければ、後遺障害慰謝料は支払われません。小さな違いが損害賠償額に大きな影響を与えかねないので、その認定基準をしっかり確認しておきましょう。以下9分類のいずれかにあてはまれば、原則として14級に認定されます。

後遺障害14級/9段階の分類
1号 1眼のまぶたの一部に欠損を残し、またはまつげはげを残すもの
2号 3歯以上に歯科補綴をくわえたもの
3号 1耳の聴力が1m以上の距離では小声を解することができない程度になったもの
4号 上肢の露出面に手のひらの大きさの醜いあとを残すもの
5号 下肢の露出面に手のひらの大きさの醜いあとを残すもの
6号 1手の親指以外の手指の指骨の一部を失ったもの
7号 1手の親指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの
8号 1足の第3の足指以下の1、または2の足指の用を廃したもの
9号 局部に神経症状を残すもの

後遺障害14級と判断される具体的な症状

1)1眼のまぶたの一部に欠損を残し、またはまつげはげを残すもの

交通事故によって片方のまぶたの一部が欠損してしまった場合、またはまつげが半分以上失われた場合をさします。具体的には「片方のまぶたを閉じた状態で、黒目は隠れても白目の一部が露出してしまう状態」、または「眼球全体はおおえていても、片方のまつげが半分以上なくなり生えてこない状態」をさします。

2)3歯以上に歯科補綴をくわえたもの

歯科補綴(ほてつ)とは、歯科医による適切な治療のこと。交通事故により歯が失われたり欠けたりした後、「差し歯を入れたりブリッジなどで義歯をつけたりした場合」です。なお5歯以上の場合は後遺障害13級になります。

3)1耳の聴力が1m以上の距離では小声を解することができない程度になったもの

交通事故により、片方の耳が聞こえにくくなった場合です。具体的には「片方の耳の平均純音レベルが40デシベル以上70デシベル未満」となったもの。小声でささやかれる程度では聞こえない状態をさします。

4)上肢の露出面に手のひらの大きさの醜いあとを残すもの

交通事故で上肢(腕や手)の露出面に、被害者自身の手のひらと同じくらいの面積のひどい傷跡が残ってしまった状態です。一般的に「露出面はひじ関節以下」をさしますが、ノースリーブを着る機会がある人には「肩から手の先まで」という解釈もあります。

5)下肢の露出面に手のひらの大きさの醜いあとを残すもの

交通事故で下肢(足)の露出面に、被害者自身の手のひらと同じくらいの面積のひどい傷跡が残ってしまった状態です。一般的に「露出面はひざ関節以下」をさしますが、水泳・入浴時に傷あとがみられるため、「足のつけ根からつま先まで」という解釈もあります。

6)1手の親指以外の手指の指骨の一部を失ったもの

交通事故により「片手の指の一部(親指以外)が失われていることがレントゲン写真などで医学的に確認できる状態」をさします。骨がくっついていない遊離骨折も含まれます。また、骨の欠損状態によって等級が上がる可能性もあります。

7)1手の親指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの

交通事故により「片手の指(親指以外)の先端に近い関節が曲がらなくなった状態」をさします。筋が損傷して自由に屈伸ができない、またはこれに近い場合です。麻痺が第2関節にまでおよぶと、等級が上がります。

8)1足の第3の足指以下の1、または2の足指の用を廃したもの

交通事故により、片足の中指・薬指・小指の3本のうち、1本または2本の用を廃した場合です。“用を廃する”とは「末関節の長さの半分以上を失った」「指を切断した」「指の先端に近い関節がなくなった」「指の根元に近い関節がなくなった」「可動域が半分以下に制限される」などの状態をさします。

“むちうち症”は後遺障害14級の可能性あり!

9)局部に神経症状を残すもの

交通事故により生じた「医学的に説明できる身体の各所の局部的な神経症状」をさします。いわゆる“むちうち症”が代表的で、首や肩の痛み、手足のしびれなどがあげられます。ただし、むちうち症は正式な傷病名ではありません。医学的には「頸椎捻挫」「頸部挫傷」「外傷性頸部症候群」などに分類されます。

レントゲンやMRIで異常が見つからなければ、「神経学テスト」を受ける

レントゲンやMRIなどの画像検査で異常が見つからない場合、後遺障害14級に認められるには「神経学的所見」が必要です。これは神経学的なテストによって、どの部位にどのような障害が存在するのかを判断する検査結果(および医師の判断)です。

なお、レントゲンやMRIなどの画像検査で異常が見つかれば、後遺障害12級に認定される可能性が高いでしょう。

後遺障害の認定サポートを行っている弁護士に相談

あくまで医師は治療のプロであって、後遺障害認定の専門家ではありません。病院によっては神経学的なテストを積極的に行ってくれない場合があるので、詳細な検査を主治医に依頼しておきましょう。

また、被害者本人は上記の分類にあてはまると思っていても、カルテや診断書、検査結果などの記載内容によって14級に認定されない可能性もあります。適正な等級認定を得るためには、後遺障害の認定サポートを行っている弁護士に相談したほうがいいでしょう。

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