「弁護士費用特約」完全ガイド~示談交渉や裁判で大活躍!使うデメリットなし!
この記事のポイント
- 「弁護士費用特約」とは、保険会社が弁護士費用を負担してくれる保険特約
- 同居の親族や事故車の所有者が契約している自動車保険の特約も使える
- 火災保険や傷害保険などについている弁護士費用特約も使える
- 「もらい事故」でなくても、弁護士費用特約は使える
- 弁護士が加害者側の保険会社と交渉すれば、慰謝料の金額が上がる
- 弁護士費用特約を使うデメリットはない。翌年の保険料も上がらない
目次
「弁護士費用特約」の基礎知識
保険会社が弁護士費用を負担してくれる保険特約
任意加入の自動車保険には「弁護士費用特約」という保険オプションがあります。この特約を使えば、交通事故の損害賠償に関する弁護士費用を保険会社に負担してもらえます。ほとんどの事故の弁護士費用は補償限度額(一般的に300万円)の範囲に収まるため、実質的な自己負担なしで弁護士に相談・依頼できるでしょう。
「弁護士への依頼=裁判」ではない
加害者側の保険会社は中立的な立場ではありません。示談交渉のプロとして、さまざまな手法で自社の支出(保険金の金額)をおさえようとしてきます。そのため、弁護士に交渉をまかせたほうが安心です。依頼したからといって、必ずしも裁判になるわけではありません。
自動車保険の基本プランに組みこまれているケースも
「弁護士費用特約」は通称であり、正式名称は「自動車弁護士費用等補償特約」「弁護士費用補償特約」など保険会社によって異なります。自動車保険の基本プランに組みこまれているケースもあるので、必ず特約の有無を確認することをおすすめします。
自動車保険に入っていなくても使える!
保険加入者の配偶者、同居の親族、別居の子なども対象
自動車保険に加入していなかったり、弁護士費用特約をつけてなかったりしても、この特約を使える場合があります。その理由は保険特約の適用範囲が広いため。ほとんどの自動車保険では、以下の対象者に弁護士費用特約が適用されます。
弁護士費用特約が適用される6つの範囲
- ①記名被保険者(通常は保険契約者と同一人物)
- ②記名被保険者の配偶者
- ③記名被保険者、またはその配偶者の同居の親族
- ④記名被保険者、またはその配偶者の別居の未婚の子
- ⑤契約自動車に搭乗中の者
- ①~④に該当する者が運転する契約自動車以外の自動車に搭乗中の者
火災保険や傷害保険などについている場合も
つまり、同居している家族の自動車保険、友人の車を借りた際の友人の自動車保険など(についている弁護士費用特約)が使えるわけです。くわえて、火災保険や傷害保険などの特約として付帯されている場合もあるので、家族全員の損害保険を確認したほうがいいでしょう。
もらい事故じゃなくても使える!
なぜ「もらい事故に備えるため」と説明されたの?
弁護士費用特約について、保険会社や保険代理店から「もらい事故に備えるための補償」という説明を受けることがあります。その理由は被害者に過失がまったくない事故の場合、被害者が加入している保険会社が示談交渉をできないからです。
事故の過失割合にかかわらず、特約を活用すべき
それゆえ「もらい事故にしか使えない」という誤解が生まれがちですが、この特約は過失のある事故でも使えます。したがって、事故の過失割合にかかわらず活用したほうがいいでしょう。
弁護士に依頼する大きなメリット
慰謝料の金額が大幅に増える可能性が高い
交通事故の慰謝料には複数の算定基準があり、どの基準を使うかによって金額が変わります。そして、加害者側の保険会社は金額を抑えるために、低い基準で算出した示談金額を提示してきます。
一方、弁護士は法的に適正な基準(金額の高い基準)をもとに保険会社と交渉します。そのため、弁護士に依頼すると慰謝料が大幅に増える可能性が高いのです。
弁護士の交渉によって法的に適正な金額が示される
しかし、被害者本人が加害者側の保険会社と交渉しても、慰謝料が大幅に増額されることはありません。“いつでも訴訟を起こせる弁護士”が交渉することによって、初めて保険会社から法的に適正な金額が示されるのです。
仮に金額が上がらなくても、依頼する損はない
弁護士に依頼すれば、原則として慰謝料の金額が上がります。もし金額が変わらなかったとしても、弁護士費用を負担しないので損をすることはありません。しかも、加害者側との対応をまかせられるので、精神的負担は軽くなります。つまり、弁護士費用特約を使わない手はないのです。
弁護士費用特約を使うデメリットはない!
特約の補償限度額を超えても損をしない理由
では、弁護士費用が特約の補償限度額(一般的に300万円)を超えるときは損をしないのでしょうか?弁護士費用が高額になるのは、重い後遺障害が残った事故や死亡事故など、請求する損害賠償金が大きいときです。
300万円を超える可能性があるのは「成果報酬」部分
これらの事故は、弁護士に依頼することで増額する損害賠償金も高額になります。そのため、成果報酬としての弁護士費用が高くなるのです。増額分よりも弁護士費用のほうが低いので、依頼者が損をすることはありません。もちろん、着手金が300万円を超えることもありません。
保険の等級は下がらないので、翌年の保険料も上がらない
ここまで説明してきた通り、弁護士費用特約を使うデメリットは特にありません。保険の等級は下がらないので、翌年の保険料も上がりません。また、依頼する弁護士は自分で選べます。保険会社から弁護士を紹介されることはありますが、その弁護士に依頼する義務はありません。
弁護士費用特約を使うための3ステップ
1) 損害保険の契約内容を確認する
まずは自分、そして同居の親族が加入している損害保険(自動車保険、火災保険、傷害保険など)の契約内容を確認しましょう。具体的には保険証券や保険約款をチェックして、弁護士費用特約の有無を調べてください。
自分でわからなければ、保険代理店や保険会社に問い合わせ
書面を読んでもわからない場合は、契約した保険代理店や保険会社に問い合わせましょう。その他に、無料の法律相談を活用して弁護士に確認してもらう方法もあります。保険証券や保険約款を持参すれば、特約の有無を教えてくれるはずです。
2) 特約を使うことを保険会社に連絡する
弁護士費用特約がついているとわかったら、加入している保険会社に特約を使いたい旨を伝えましょう。具体的には、保険会社のコールセンターや契約した保険代理店に連絡してください。事前に許可を得ないと、特約の適用を受けられない可能性があります。
3) 弁護士を探して、相談・依頼する
交通事故の分野は専門性が高く、「どの弁護士に依頼しても結果は同じ」とはいえません。法律事務所のホームページや知人の評判などを確認して、交通事故の分野に精通した弁護士に依頼することをおすすめします。複数の弁護士に相談して、相性のあう人を探すのもいいでしょう。
- 保険会社の対応に不満がある。
- 保険会社の慰謝料提示額に納得がいかない。
- 過失割合に納得がいかない。
- 後遺障害の認定を相談したい。
「交通事故の慰謝料」記事一覧
- 2016年7月8日
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